園長先生から一言
毎月発行の「たまみねだより」に掲載している園長先生のコラムです。
H20.5. 野の花の思い出
やわらかな光のもと,春の風が心地よく流れてゆく気持ちがいい季節です。外を歩くと野にはたくさんの花が咲いていて,その香りが一面に広がっています。今月の特集は「野の花遊び」。保育士が野の花を使って素敵な遊びを紹介しています。子どもの頃 外で遊んだ楽しい時間を思い出しませんか。十一面観音
サヤエンドウで笛を作っておしゃべりをしたり,カンバミの花相撲で真剣に勝負をしたり,山へ探検に行くとオナモミがズボンにくっついていて,いつの間にか当てっこに興じていたり,私にも楽しかった思い出がたくさんあります。いとこの女の子達が訪ねてきた時には,初めてレンゲソウの花輪作りをして,私がかぶると何だかねじり鉢巻みたいになってしまうのですが,いとこの子がつけるとまるでおとぎ話のお姫様のように見えて,子ども心に「かわいいな〜」ってドキドキしたことも思い出しました。子どもの頃に見たあの風景と、その風景いっぱいに広がっていた花の香りが再び目の前に広がりました。
みなさん,この素敵な季節に子ども達と一緒に野に出てみませんか。子どもの頃の気持ちに戻って野原を駆け抜けると,きっとあの頃のことがたくさん思い出されますよ。あの時の子どもが今では大きく成長して,自分によく似た子どもと一緒に笑っている。ここに生命の連鎖の不思議さと,いつの世も変わらない幸せの光景が広がっていくように思えます。それは何故か永遠に続いていくような不思議な感覚をともなって,私達と子ども達の心に残っていくことでしょう。
H20.4. 花と嵐
春の陽光が穏やかに射し込む季節となりました。園庭の桜もこの季節を待ちわびていたように大きく咲き誇っています。持國天
先日長崎市でのお葬式の帰りに、橘神社へ立ち寄ってみました。桜の花は八部咲きでしたが、広大な境内を見事なまでに春色に彩っていました。お花見の宴も用意されていて、日暮れを待たずにちらほらと宴会も始まっていて、花見客や屋台の人たちもどことなく顔がほころんで、新しい季節の始まりに皆の心が弾んでいるようでした。私はこの幸せな光景を見ながら、唐の詩人・宇武陵の漢詩『酒を勧む』を思い出しました。
勧君金屈巵(君に勧む金屈巵)
満酌不須辞(満酌辞するをもちいず)
花発多風雨(花開けば風雨多く)
人生足別離(人生別離おおし)
この詩には作家の井伏鱒二が意訳した有名な名訳があります。
コノ サカズキヲ 受ケテクレ
ドウゾ ナミナミ ツガセテオクレ
ハナニ アラシノ タトエモアルゾ
「サヨナラ」ダケガ 人生ダ
弟子の太宰治が好んで吟じていた詩と聞きますが、原文よりもこの訳詩の方が馴染み深いかもしれませんね。『「サヨナラ」ダケガ人生ダ』なんて、沈痛でありながら潔い悲哀の心情が伝わってきます。それに対して、宇武陵の原文には「サヨナラが定めの人生だからこそ、このひと時を痛飲して楽しもうじゃないか!」という肯定的な諦観の響きがありますね。葬儀の帰りに花見処でそんなことを考えていました。
私たちの毎日も二度とはめぐってこない日々。子育てに奮闘している時も過ぎてみれば、大変だったけど幸せな思い出になることでしょう。二度と戻らないこの幸せな時を、子ども達と一緒に笑って過ごしていきましょう。
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